Le Concert de la Loge Olympique

管理人が好きな古楽器演奏について自分勝手に語るブログです。オタクっぽい雑談率も高いです。ゆっくりしていってね!!

ヴァイル/ターフェルムジーク/テルツ少年合唱団のハイドン「太鼓ミサ」

見てくださってる方おはようございます、寒いですが風邪引いてないですか( ・∀・)

私が個人的に、世界の歴史の中で一番好きなミサ曲は、ハイドン最晩年の「太鼓ミサ」です。
(なお、「一番好き」かどうかと「一番すばらしいと思う」というのはまた別の話ですので。)
ハイドンが晩年に(モーツァルトが亡くなった後)、6曲のミサ曲を1年に1曲ずつ作ったこと、
そしてそれぞれがとてつもない完成度を誇る名作として知られていることは、有名ですよね。
超かっこいいネルソン・ミサ、楽しさ限りないテレジア・ミサなども本当に印象的ですが、
太鼓ミサは中でも愉快痛快さで群を抜いていると思います。
その太鼓ミサを最高に魅力的に演奏してくれているディスクを、今日は紹介するのです。

J.ハイドン「太鼓ミサ」/ブルーノ・ヴァイル/ターフェルムジーク/テルツ少年合唱団
ソプラノ:アン・モニョイオス
アルト:モニカ・グロープ
テナー:ヨルグ・ヘリング
ベース:ハリー・ファン・デル・カンプ
VIVARTE SK68255


pauken.jpg


ここでは古楽界最強の3つの勢力が手を取り合って、一つのプロジェクトに取り組んでいます
1.ヴァイル+ターフェルムジーク(アンドリュー・オコナーらによって、
 世界で最もすばらしい古楽器アンサンブルと褒め称えられているのは、以前言及したとおりです)。
2.ヴォルフ・エリクソン(古楽界きっての名プロデューサー。
 信じがたいほど美しく臨場感のある録音をしてくれます)。
3.H.C.ロビンズ・ランドン(現代ハイドン研究の最高の権威。ここでは音楽学アドバイザー、
 またライナー・ノーツの提供者をしています)。
この3つが協力しているのです、結果のすばらしさははなから分かりきっていますよ。

冒頭の「キリエ」から、驚くほど柔らかく暖かいサウンド作り。
モニョイオスの清楚なソプラノにも酔わされます。
「グローリア」の最初のセクションでは、控えめながらもかわいいクラリネットソロに注目ですよ!
これ、アルフ・ホルベルグ(18世紀オケのメンバー)なんです。しかも使用楽器は1800年頃のオリジナルのグレンザー。
「Laudamus te」の辺りから繰り返される、ストリングスの「ドシラソーソ#ーラ」というパッセージの、
「ソ#」だけにたまげるほどアクセントが付けられているのは、実に面白いアイディアです。
「Deus Pater omnipotens」のところで、突然ティンパニが「どんどこどんどんどんどんどん」と強烈な
祭太鼓を始めてしまうのにも、笑ってしまいますね(´・∀・`)
「Qui tollis」では、私の大好きなファン・デル・カンプが、ソロチェロのクリスティナ・マーラーと
絡みながら見事な歌唱を聴かせてくれます。
彼、何でこんなにも微妙なニュアンスの変化を操れるんでしょうか。

「クレド」ではまず「Et incarnatus est」が白眉です。
この部分、神が奇跡によって処女マリアを身ごもらせた話しを描いていて、モーツァルトの「大ミサ曲ハ短調」などのように、
しみじみ心の深いところに訴えてくる、ほっとする音楽として作曲されるイメージがありますが、
ハイドンは意外にもトニックマイナーのハ短調で、ミステリアスな曲に仕上げています。
途中でひやひやさせながらも、変ホ長調に落ち着きそうに見せるのですが、
キリストの十字架上での死を描写する「sub Pontio Pilato」で、ぱっとまた音楽はぞっとするたたずまいに戻ります。
最後のところの、ドでの長いオルガンポイント(って言っていいんでしょうか?)を用いての、
絶妙な和音構成もまさにハイドンならでは。
「Et resurrexit」から、音楽は一転して華やかになります(キリストの復活と栄光を描いていますので)。
導入で繰り返される、上昇するストリングスの印象的なパッセージは、
キリストが墓からよみがえり天での栄光に至ることを、音画的に象徴しているんでしょうね、多分。
こういうのって、バロック時代の慣習の最後の名残という感じで、すごくうれしくなりません?
それにしても、セクションごとでのヴァイルの気分の転換ぶりは、あきれるほど見事です。
やっぱり一気にテンポとビートを切り替えている仕方が、すばらしすぎるのが秘訣なんでしょうね。
そしてこの曲で私が一番気に入っているのが、「Et vitam」から始まる感動的なフーガ。
古典派時代の作曲家でも、やはりハイドンとモーツァルトはポリフォニー処理への精通ぶりで抜群だと思います。
「Amen」のところでの暴れまくるヴァイオリンの引き締まり方・輝かしさは、まさにターフェルムジークならでは。
ここ、聴くたびに泣いてしまいます(´つω;`)

その後での聴き所は、まず「ベネディクトゥス」です。
ハイドンはまたさびしいマイナーキーに音楽を持っていき、4人のソリストみんなをフル稼働させます。
ヴァイルが選んだ実力派のソリスト群は、文句の付けようがない四重唱を聴かせてくれますよ!
最後は安心するハ長調に戻り、2度目の「オザンナ」に備えています。
そしてこの曲のニックネームの由来になった、「アニュス・デイ」がやっぱりなんといっても最高潮です。
「miserere nobis」に入る前から、突然ティンパニが軍楽隊のマーチのようなソロパートをたたき始めるのが、
「太鼓ミサ」の「太鼓」の元になっているわけですが、ロビンズ・ランドンはここについて
天才のひらめきとしか形容しようがない」と述べています。
おっしゃるとおりですね。
その後ティンパニによって盛り上げられたアンサンブルは、一番最後の「Dona nobis pacem」に一気になだれ込むわけです。
一度ト長調(あるいはト短調)に落ち着きかけた後、シークエンス的な和声進行で戻っていき、
ナチュラルトランペットの天高く響くファンファーレが炸裂するところは、
ヴァイルとターフェルムジークの高い芸術性の傍証でしょう。
あとはひたすら「我らに平和を与えたまえ!」と連呼されるわけですが、ここについてロビンズ・ランドンは興味深くも、
敬虔に祈っているというよりは、神に平和を要求しているような強気さだ」と述べていますよ。

この演奏、弱点を挙げるとするなら、やはりテルツ少年合唱団がプロの大人の合唱団と比較すると
あまりうまくないことと、オケのベースがあまりはっきりしてこない辺りでしょうか。
でもこの演奏のあまりのゴキゲンぶりの中では、ほとんど気になりません(・∀・`)
合唱も含めてうまい演奏というと、ガーディナーのものもすばらしいです。

ちなみにこのディスク、おまけで「サルヴェ・レジーナ」と「オ・チェリトゥム・ベアティ」というモテットが収録されて
いますが、残念ながらこの2曲は面白くありません。
ハイドンの円熟していない頃の、若書きですので‥。
まぁでも安田和信さんみたく、ハイドンの珍しいレパートリーを手に入れたくてしょうがない方は、
ここからもかなりの喜びを見出せると思います。

テーマ:クラシック - ジャンル:音楽

  1. 2007/11/24(土) 09:02:53|
  2. 北米の古楽
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Author:JMP
年齢:おかゆまさきさんの2歳上らしい
趣味:クラシック音楽鑑賞、ピアノ演奏、作曲、散歩
好きなもの:横浜ベイスターズ、アニメ、ゲーム、まんが
ブログ名の意味:ハイドンのパリ交響曲集を初演したオーケストラ
尊敬する人:フランス・ブリュッヘン
愛する女性:秋谷智子さん
管理者へのメール:lucyvandaelあっとmail.goo.ne.jp

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