「ビザンチウムからアンダルーシアまで」〜地中海世界の音楽と詩/オニ・ウィタルス・アンサンブル
NAXOS 8.557637
最近どんどん中世音楽が好きになってきました。
ルネサンスポリフォニーが大好きな私ですが、中世音楽では初期のポリフォニー音楽よりも、
メロディだけ残されていて自由に復元する、というような形のレパートリーの方が個人的に断然好きなんですよ( ・∀・)
「
モンセラートの紅い本」や、「
カルミナ・ブラーナ」とかいったような種類ですね。
正直芸術としての格は、古典派やロマン派の完成されている音楽と比較してはいけませんが、
今から700年とか昔の人々の生活に密着していた祈りと歌と踊りの再創造、歴史とか大好きな私には心底興味深いですし、
当時の音楽はアラブ音楽とか民族音楽とか(キリスト教から見ての)異教の音楽とかから影響を受けており、
すごくエスニックである意味妖しい趣があり、なんともいえない魅力がいっぱいじゃないですか。
最近は当時の音楽を単純に音として再現するだけでなく、他文化との交流とかといった観点から再創造し、
アラブの楽器を意欲的に取り入れたり、ヨーロッパだけでない関連する音楽文化を有していた近隣地域の古楽も演奏したりと、
面白い試みがどんどん行われるようになっており、聴いていて楽しいことこの上ありませんねっ。
「
音楽の百科辞典」ことNAXOSは、安価で優れた品質の中世音楽リリースも繰り返してくれており、
最近では2001年録音、2006年リリースのこのオニ・ウィタルスのディスクが最高の楽しさでしたよ!
このCDは、13・14世紀のスペインとビザンチン音楽に多大な影響を及ぼしていた地中海圏の3つの文化による音楽、
すなわち
ユダヤ教音楽、キリスト教音楽、そしてイスラム教音楽を当時のまま再現し、その交流をよみがえらせようという、
コンセプトを聴くだけでwktkが止まらない企画です(*゚ー゚)
今や、
イスラム教音楽の古楽も聴ける時代になったんですねッ!
オニ・ウィタルスには
ベリンダ・ザイクス、マルコ・アンブロジーニ、トーマス・ヴィンマー、ミヒャエル・ポッシュなど
実力派中世音楽演奏家たちが集結しており、聞いたことないような
よく分からん読み方さえ不明な楽器たちをたくさん使用して、カラフルな音世界を実現していますよ。
当時のアンダルーシアとかでは、
これら3つの宗教の信仰者たちが互いを認め合って生活していたらしく、
その文化的交流はかなりの度合いだったようです。
なんという美しい世界‥。民族的・宗教的イデオロギーの違いからしばしば血が流されることが未だに多い、
あるいは今だからこそ多い我々21世紀人は、当時の人々から学ぶべきではないでしょうかッ!?
ここでは中世地中海地方の人々の生き生きとした信仰と生活がストレートに伝わってきます。
現代の私たちの文化ほど正直洗練されていないかもしれませんが、言いたいことも言えないことが多く、
熱烈な感情を表現する手段もあまり持っていない我々と比較して、彼らの生活ってなんて素朴でありながらも
豊かで活発だったんでしょう、このCDを聴いている限りでの感想は、なんつーか「
踊る生活」という感じです。
ほとんどの音楽がパーカッションを伴っており、
うきうきするようなダンスのビートが効いています、
それにある意味粗野な歌声とカラフルでへんちくりんな音の楽器たちが加わるその音楽は、なんと形容すればよいのでしょうか、
あちらの地方のステレオタイプ的イメージというと、
原色の世界という感じじゃないですか、
真っ青な空に真っ赤な太陽に色とりどりの野菜、というテレビとかの映像が浮かびますが、
まさに音楽もそういうイメージですね。
全員ヨーロッパの音楽家たちですが、エスニックな楽器たちを使用して、
アラビア語やユダヤ語のなんだかよく分からない歌詞も、一生懸命歌っていますよ。
歌詞対訳が残念ながら載っていませんが(原語歌詞は載っています)、「
ムハンマドがどうのこうの」とかいった
バチカンの偉い人の前で歌ったら迫害されてしまうのでは?と心配してしまうような、
普段なかなか聴けないイスラム教音楽も出てきます。
前述のようにダンス調の音楽がほとんどで、繰り返しが多く、ロンド形式もかなりの割合に上りますね。
やはりヨーロッパ音楽のくくりではまとめられないゆえなのか、
あるいは当時のオーセンティックな演奏習慣なのかよく分かりませんが、いわゆる
12音音階ではとても表現できないような、
普通のピッチを外しまくった音が頻繁に使われています(;゚д゚)
微分音とかいうんでしたっけ、こういうの?
増2度とか妖しい進行も多いし。
それをソリストの皆さんがくだを巻くような放送コードギリギリの歌い方で表現しておられます、
特に途中でなんか
オヤシロ様の祟りでもあったかのように、
神がかり状態になってエクスタシー声をあげまくっている方もおられまして、こんなのよく発売できましたね(´∀`;)
異言の能力もお持ちとは、たいした歌手さんです。
特にやはり私の大好きなザイクスがとんでもないうまさですね、彼女の即興能力はピカイチだぜッ!!
純粋な器楽曲も出てきたりして、聴いていてうきうきしてくるノリのよさなのは請合い、
ポッシュの「
どうやってこういう音出してるの?」というリコーダーの限界を超えまくっているような表現には
恐れ入谷の鬼子母神です。
一番笑ってしまうのは、「
びよーん、ぴょぴょん」とかヤヴァすぎる音を出しまくっている口琴、
もはや
楽器というよりコンピュータで効果音を出しているかのようで、大爆笑必至!!
。゚(*゚´∀`゚)゚。ブワッハッハッハッ八ッ八ッノヽッノヽッノヽッノ\ ッ/ \
でもちゃんとしっとりとした表現を聴かせてくれるハープとかを中心とした(多分)「
ファ・ミ・カンタール・ラモール」なども
収録されてますよ。一番最後には昔の歌謡曲みたいに、長い語りが始まってしまうのにビクーリ( ゚д゚)
すいません、中世音楽聴きなれていないもので、このディスクの面白さを十分には伝えきれないのが残念でなりませんが、
とにかく
大昔の地中海世界のカラフルな文化と音楽に触れて、タイムマシン体験をされたい方は、
ぜひともトライしてみましょうよ、よしんば好みに合わなくてもたったの1000円だし。
このディスクからレバノンの「
キリエ・エレイソン」と、トルコの「
サララフ・アラ・ムハンマド」を紹介している
動画を最後に貼り付けておきますので、よければ再生してみてください。
テーマ:クラシック - ジャンル:音楽
- 2008/06/28(土) 14:10:05|
- ドイツの古楽
-
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>ユダヤ教音楽、キリスト教音楽、そしてイスラム教音楽を
E.パニアグアのpneumaレーベルから
ALARIFES MUDEJARES(CDPN-170)という
興味深いCDが出ています。
中世スペインのサウンド・スケープとでもいいましょうか、
アラブ・アンダルシアの音楽、イスラム教の礼拝への呼び掛けアザーン、
キリスト教会の鐘の音と遠く聞こえ来るグレゴリオ聖歌、
聖母マリアのカンティガス・・・
そして水の音などの環境音をも取り入れた音響作品です。
中世の音楽、私からのお薦め盤は当然のごとく
はめをはずしすぎないフィリップ.ピケットです!
「カルミナブラーナ(タワーレコードより4枚組み3000円)」と
「サンチャゴへの巡礼」2枚組が英オワゾリールより再販されましたので、
未聴の方はぜひ(・∀・)
- 2008/06/29(日) 16:04:15 |
- URL |
- L'oiseau-ski #-
- [ 編集]
さすがに中世音楽にはお詳しいですねッ、先輩いろいろ教えてください、ベッドの上で!
パニアグァはめっぽう面白いらしいですな、最近フランスハルモニアムンディで安く売られるようになっているので、
初心者の私はその辺から聴き始めようかなと前から思っています。
>イスラム教の礼拝への呼び掛けアザーン
なんぞこれ?ww演奏家本人たちの信仰には反しないんでしょうかね。
そしてやはり中世といえばL'oiseau-skiさん的にはピケットなんでしょうね、彼のカルミナ・ブラーナは
聴かないわけにはいかないんでしょうな、古楽ファンとして。ホント中世は聴き始めたばかりでして。
私は最近けっこうジョエル・コーエンを聴くようにしています、安く売ってるのに、スタイリッシュで面白いですよね?
マジで中世音楽のこと今後もご教授ください!
- 2008/06/29(日) 20:29:13 |
- URL |
- JMP【管理人】 #-
- [ 編集]
「アザーン」ってTVなどでイスラム世界の映像に必ずといっていいほど流れる
あの民謡みたいなふしまわしのあれですよ。聴けばわかると思う。
さて、
ポリフォニー作品以外の”ギガント級お薦め団体”は
L'Ensemble Tre Fontane
(
http://www.albacarma.com/cattref.html)
と
例によって廃盤ですがw「ピエール・ヴェラニィ」からCDが2枚出ていた
Herve BerteauxのConpagnie Medievalですね。
前者はハーディ・ガーディを中心に
リュート(ウード)や打楽器、笛、歌をまじえ
地味で
貧乏くさいながらも的確に中世世界を再現しています。
いろいろ聴きましたが、中世聴くならこの団体がイチオシです・・・
Berteauxもメンバーとして参加していたり、
エドゥアルド・パニアグァたちとも競演しています。
なにぶん入手しずらいCDですので中古で探してくれたまい。
因みにエドゥアルド・パニアグァは
ハルモニア・ムンディのCDで有名な故グレゴリオの弟で、
自身のレーベル「pneuma」を立ち上げ、
「賢王アルフォンソ10世編纂:聖母マリアのカンティガス」を全曲録音するという
無謀な計画、「アル・アンダルース音楽」、トラッド、ヒストリカルなどと
系統立てて録音をし続けています。
兄グレゴリオよりいまひとつ単調なので、カンティガスも全てを聴くに値しないでしょう。
新品だと高いし。。中古で1枚持ってれば良いかと・・・
兄グレゴリオはですね、ロングセラー盤として有名な「古代ギリシャの音楽」(hm)
くらいで良いでしょうか(中世より古い時代ですけど)。
同タイトルが同レーベルのSCB(スコラ・カントルム・バジリエンシス)ドクメンタより
SCBのメンバーで新しく録音されました。サヴァールのお嬢さんも加わった録音です。
ここまで古くなるともはや空想
(楽器なども壺などに描かれた絵をもとに復元されている)の世界ですが
面白いんだなこれが( ゚∀゚)アハハ!
話は中世に戻りまして・・・
コーエンのCDもapexなどで安く入手できますが
私からは、少し古くなりますが
トーマス・ビンクリー&ミュンヘン古楽スタジオを中世の入門編として
強く推しておきます。
カルミナ、ジョングルール、吟遊詩人・・・と
この時代にほとんどを録音しつくしています( ゚д゚)スゴー
中世音楽のレオンハルトとでもいいましょうか。
ピケットも彼の仕事を高く評価しています。
ヴァージンの5枚組みBOX、ダスアルテの再販で安く入手できます。
J.サヴァール/エスペリオンXXIも
(中世寄りのお嬢さんの影響もあってか)
ここ新しく2枚の中世舞曲(オリエント・オクシデント、 イスタンピ)のCDを発表しています。
(イスタンピの方にはミクロロゴスのゾッソがゲストで1曲弾いていますが
いまいち精彩を欠く、乗り気でない?)
サヴァールの中世ものは実に禁欲的で砂。渋すぎる。浪曲のようなこぶしがきいてるというか。
間違っていないと思います。
地味な中にほとばしる生命力を垣間見ることができるのが中世音楽の真髄ではないでしょうかね?
表面的などんちゃん騒ぎや効果狙いで終わっている演奏はいまいちですね。
ルネサンス時代ならそれも有りなんですが…
マクレガーのカペラ・ミニストレルスとかw 同じスペインの古楽団体でもここまで違うかみたいなw
(・∀・)人(・∀・)
- 2008/06/30(月) 12:24:31 |
- URL |
- L'oiseau-ski #-
- [ 編集]
なんという熱いコメント、こちらが恐縮してしまいます(´∀`;)だがそれがいい!
>L'Ensemble Tre Fontane
知らねっつーの!ww中世は初心者なので。しかしL'oiseau-skiさん的にベストレベルということは、
私が聴いてもかなり面白そう。つぅか、ハーディガーディ大好きだし。中世には欠かせねぇ!
>Herve BerteauxのConpagnie Medieval
これも知らねーなーwwでもピエール・ヴェラニーのちょっと前のCDなら、ディスクユニオンとかで安く買えそうですね。
ぜひとも両方とも探してみようと思います。ありがとう!
>エドゥアルド・パニアグァはハルモニア・ムンディのCDで有名な故グレゴリオの弟
あり!パニアグァって二人いたの?(そういえばどっかでそう聞いたような)しかも片方死んでんの!?
‥基本が分かってなくてお恥ずかしいです。
そうそう、古代ギリシャの音楽とタランテラでしたっけ、殿堂入りの名盤が2つありますよね。
両方聴いてないけど(`・ω・´) 今度古代ギリシャ聴いてみよっと。
確か古代エジプトの音楽も想像で復元したCDが出てましたよね?誰かよく分からないけど。
>トーマス・ビンクリー&ミュンヘン古楽スタジオ
あ、これってヴァージンヴェリタスのBOXで超安く売ってるヤツですか?
なんだか安っぽいので敬遠してたんですが、優れてたんですね、今度買ってみますとも。
ちなみにまたもやお恥ずかしながら、私マンロウも聴いてないんですよ、
「中世とルネサンスの楽器」だかっていうアンソロジーすごく聴きたいんですが、やっぱ聴いた方がいいですか?
サヴァールも最近妖しげな中世音楽ディスクリリースしましたよね。
でも大昔のスペイン音楽とか彼ってパイオニアだし、けっこう得意なんじゃないんですかね?
>マクレガーのカペラ・ミニストレルス
コイツらマジで大っ嫌いッ!!ジョスカンのアヴェ・マリアをパーカッション付きで演奏してるのを聴いて、
マジでCD叩き割りそうになりました(# ゚Д゚)ゴルァ
ただ、ヤツらのヴィクトリアのレクイエムだけ、ちょっとだけ聴いてみたいんですけど‥。
いやぁ、実に有意義なコメントでした、心から参考になったのです。これからも4649!!
- 2008/06/30(月) 22:34:06 |
- URL |
- JMP【管理人】 #-
- [ 編集]
Tre Fontane 以前はADDAレーベルからリリースされていました。
ADDAは古楽専門ではないし、流通も悪かったような・・・。
マイナーづくし。知らない人の方が多いと思います。
現在は自主レーベルでCDを出しており通販で買うことも可能ですが
クレカは使えず郵便為替送金という不便で以前にも増してマイナーになった感がw
上記ウェブでサンプル音源が聴けるのがせめてもの救いか。
上から数えて5,6,7番目のCDが私のお薦めです。
>古代エジプトの音楽
出ましたよね。広告は見ました。さすがに聴いてません(;゜ Д゜)
>「中世とルネサンスの楽器」
あっ―、重要な人を忘れてました(;゜∀゜)
>私マンロウも聴いてないんですよ
Σ (゜Д゜;) マジでっ?!
マンローは聴くべきでしょうね。
この人の作品にはジェームズ・ボーマンが漏れなく付いてくるので
カウンターT嫌いなので私も実のところあまり聴いてないのですが
「中世とルネサンスの楽器」と「ルネサンス舞曲集」は「お宝」です。
メンバー表を見るだけでも価値があると思います(;゜∀゜)人(;゜д゜)スゴー
(Veritasx2なのにメンバークレジットあり!
なんとホグウッドがハーディガーディを弾いてます。いまいちだけどw
余談:ヴァージナルってゲームセンターの音だなあっw)
古楽誌「アントレ」No.74にピケットがマンローの思い出を語ったインタビューが載っているのですが
微笑ましいですよっ。機会があったら読んでミレーの落ち穂拾い( ・∀・)
- 2008/07/02(水) 21:08:44 |
- URL |
- L'oiseau-ski #-
- [ 編集]
いつもこんなところ見ていただけるだけでもありがたいのに、
こんなに熱いコメントまでいただいてしまって申し訳なくなってしまいます。
>ADDAは古楽専門ではないし、流通も悪かったような
ADDAってありましたねー、なんかデザインがヘボいヤツですよね?
>クレカは使えず郵便為替送金という不便
あのー、そんなのわざわざ購入しておられるのですか?wwまいりましたm(;_ _)m
やっぱマンロウの楽器アンソロは買いですかッ!?
>メンバー表を見るだけでも価値があると思います(;゜∀゜)人(;゜д゜)スゴー
あなたがそう言うなら私は買わないわけにはいきませんww
veritasx2でもメンバー表あるんですか、ただオリジナルリリースでは楽器それぞれについての
豊富な説明と美しい写真が載っている、というような話しだったので、できればそっちを見てみたいなー。
>ホグウッドがハーディガーディを弾いてます
こwwれwwはww
>古楽誌「アントレ」No.74にピケットがマンローの思い出を語ったインタビューが載っている
なんというマニアックな情報‥。バックナンバー読めるんですか?
中世音楽の先生としてL'oiseau-skiさんに付いていきます、今後ともよろしくなのです。
- 2008/07/02(水) 22:36:30 |
- URL |
- JMP【管理人】 #-
- [ 編集]
>バックナンバー読めるんですか?
はい。
「古楽情報誌アントレ」のサイトで注文できます。
すぐ送ってくれますよ。
振り替え用紙を同封してくれますので
本が届いたら郵便局で払い込むだけ。らくちんです。
「主なインデックス」の「発行ナンバー」をクリック!
お気に入りアーチストのインタビューが載っている号数をピックアップできます。
(インタビュー以外の部分は主に実際に古楽器をやってる人向き)
- 2008/07/05(土) 18:34:58 |
- URL |
- L'oiseau-ski #-
- [ 編集]
すごく勝手にアントレって廃刊になったのかと勘違いしてました(´∀`;)
いまだにちゃんと続いている様子。
>インタビュー以外の部分は主に実際に古楽器をやってる人向き
へぇー、なんかプロっぽい気分がして面白そうですね。
- 2008/07/06(日) 11:04:27 |
- URL |
- JMP【管理人】 #-
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